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ホーキング博士の「予言」とエネルギーの未来



2018年3月14日、イギリスの物理学者(ぶつりがくしゃ)スティーブン・ホーキング博士が76歳で亡くなりました。ホーキング博士は、世界的な物理学者。だれもがその名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。若い頃から難病(なんびょう)の筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう・ALS)と戦い続け、「車いすの物理学者」としても知られています。

物理学者としてのホーキング博士は、宇宙に関するさまざまな研究と発見をくり返してきました。そんなホーキング博士が、2017年11月におどろくべき「予言(よげん)」をしたことを知っていますか? それはエネルギーの未来にも関わるものでした。

そこで今回は、ホーキング博士の「予言」からエネルギーの未来について考えてみましょう。

 

人口増加とエネルギー消費量の増加がもたらすもの


ホーキング博士の予言は、「2600年までに地球は火の玉になってしまう」というもの。いまのまま世界の人口が増え続けると世界のエネルギー消費量が増え、「地球が真っ赤」になるというのです。その対策として、移住できる惑星を20年以内に見つけなければならない――と、ホーキング博士の惑星探査(わくせいたんさ)プロジェクトへと話が進みます。

もちろんこれはホーキング博士の「予測」によるものであり、必ず2600年に地球が「火の玉」になるわけではありません。しかしこの予言を聞いて、だれもがエネルギーの未来を考えてしまうのではないでしょうか。

エネルギー不足による戦争が起こる?

人口が増えることで世界全体のエネルギー消費量も増えるとどうなるのか。つまりエネルギーの「燃料」が、より多く必要になるというわけですね。「地球が火の玉」「真っ赤」と聞いて、まずは地球温暖化(ちきゅうおんだんか)による異常気象(いじょうきしょう)を想像するのではないでしょうか。それ以外に、エネルギー問題による戦争が起こることも予測されるのです。

いま世界にあるエネルギーは、無限にあるものではありません。たとえばわたしたちが使っている電気の大半が、火力発電によるものです。火力発電の燃料は、石炭や石油、天然ガスといった「化石燃料(かせきねんりょう)」であることが多く、それらはいつかはなくなってしまう可能性があります。

再生可能エネルギーもありますが、それだけで世界中の必要なエネルギーを作り出せるわけではありません。そしてバイオマスエネルギーでは、燃料となる作物や木などが手に入らないとエネルギーを作り出せません。

平成ももうすぐ終わりますが、昭和のころには「石油はあと20年でなくなってしまう」とすら言われていました。かぎりのある資源を使って発電をしていますから、その資源をめぐって戦争が起こることもありえるのです。

日本は火力発電の燃料を、海外からの輸入(ゆにゅう)にたよっています。もし輸入先になにかが起こり、燃料を輸入できなくなってしまったら。もし輸入先と敵対する国が日本から燃料をうばおうとしたら。そんな予想も立てることができるのです。

新たなエネルギーの研究と、再生可能エネルギー

世界の国々や研究者たちは、新たなエネルギーの研究と再生可能エネルギーの利用を進めています。これから先に発見される技術によっては、エネルギー問題が解決する可能性もあるのです。ホーキング博士の予言とは違う未来へと進む確率(かくりつ)のほうが高いでしょう。

たとえばアメリカの研究者が発表した「超臨界CO2タービン(ちょうりんかいCO2タービン)」という発想(はっそう)。発電では蒸気(じょうき)を使って「タービン」を回すことが大半です。蒸気には水が必要ですが、水のかわりに二酸化炭素(にさんかたんそ・CO2)を使おうというのです。二酸化炭素を使うことで、発電率(はつでんりつ)がふだんよりも30%高くなるそう。もしこれが実現したら、すごいことですね。

また再生可能エネルギーのひとつとして、波の力や潮汐力(ちょうせきりょく)からエネルギーを作り出すという方法が研究されているんですよ。もちろん他にもたくさんの発電方法が研究され、その実用化に向けて長く研究されています。

 

ホーキング博士の「予言」とはちがう未来へ!


ホーキング博士の「予言」は世界をかけめぐりました。しかし逆に考えれば、その「予言」どおりにならないようにこれから努力することもできるのです。世界中の研究者たちは、ホーキング博士の予言が出る前からさまざまな予測を立て、エネルギーの未来について考えてきました。

いま小学生の子どもたちのなかにも、将来エネルギーに関する研究や仕事をする子どもがいることでしょう。ホーキング博士の「予言」が笑い話になる未来を、その手で作り上げる可能性を秘めています。ホーキング博士も、そんな未来を望んでいるのかもしれませんね。