現在、小形風力発電に注目が集まっています。20kW未満の小型風力発電の売電単価は、太陽光発電の売電単価21円(2017年10月現在)と比べ、2倍以上の55円となっています。世界的に見ても再生可能エネルギーの代表格の「風力発電」は、今後日本で拡大していくのでしょうか。小型風力発電にフォーカスして考えていきましょう。
小型風力発電とは、風車直径が16m以下(受風面積200㎡以下)であり、出力規模が20kW未満の製品を指します。特徴としては、設置面積が小さく場所を取らない。設置が容易でバッテリーとの併用で非常時や災害時に利用可能などです。投資家目線で言えば、魅力的なのはやはり売電単価です。55円の売電単価は、再生可能エネルギーの中でも最上位の価格であり、20年間の買い取り期間も定められています。
前述したとおり、小型風力発電の売電単価は1kWあたり55円です。20kW以上の場合は1kWあたり21円と太陽光発電と同額。20kW以上でも洋上設置の場合は1kWあたり36円となっています。太陽光発電を例にとってみると、発電所の拡大と共に売電単価は低下しています。今後に目を向けると、風力発電に関しても拡大と共に売電価格が低下していく事は容易に予想がつきます。早期導入は大きなメリットとなるかもしれません。
各メーカー小型風力発電の本体価格を見てみると、およそ2,000万円前後で販売されています。この価格は高額と感じる人が多いようですが、日本国内においてはまだまだ導入実績が少ない状況です。太陽光発電に置き換えて考えてみると、導入数も参入企業も少なかった制度導入時は、設備コストは高額でした。太陽光発電が拡大している現在では、制度導入時と比べ劇的に低下しています。小型風力発電においても、設備コストが低下していくのは時間の問題かもしれません。また本体機器以外に必要となるのが工事費用です。もちろん場所や条件によって左右されますが、相場としては600万円~1,000万円となります。すなわち初期投資額としては、約3,000万円+設置場所費です。
参照元:産業技術総合開発機構
風力発電を設置する場合、重要になるのが風況データを元にした設置場所の選定です。多くの場合は、NEDO(産業技術総合開発機構)や環境省が提供している風況マップを参考にします。風況マップでは、風は高度によってその数値が大きく変わることを考慮し、地上から30m・50m・70mのそれぞれの高さでの風況を確認することが出来ます。小型風力発電の場合は、風車の位置は地上から15m前後が一般的です。この場合には、地上から30m地点での平均風速から約2割マイナスした数値を基準にするようです。注意が必要なのは、風は地上から距離が近ければ近いほど周りの環境に左右されやすいという事です。収支シュミレーションを作成する場合には、慎重な計算が必要となります。
風力発電は太陽光発電と比べると、故障するリスクは高いと言えます。これは動力部分が多いということが一番の理由であり、台風大国の日本においては尚更注意が必要です。この状況にともない故障時や台風時に対応できるよう、支柱部分を曲げることが出来る「可倒式」が登場しています。この可倒式は油圧ダンパーを使用して、根元から風車を倒すことが出来ます。台風対策や故障時に地上で対処できることがメリットと言えます。
風力発電には720時間抑制ルールというものがあります。720時間抑制ルールとは、【風力発電による発電量が一定量を超えた場合、年間720時間(30日)を上限とし、電力会社が電力買取を拒否できる制度】のことです。収支シュミレーションを考える際は、注意が必要となります。
現在、風力発電の平均利回りは10%程と言われています。約10年で投資費用が回収できるだろうという見通しです。条件が良い場合は4年から7年で回収可能という案件もあります。太陽光発電の場合、発電量を予測するためのデータや実績が揃っている為、収支シュミレーションがたてやすく銀行融資もつきやすくなっており、稼働後の数字と見比べても大きな違いは無いと言われています。風力発電の場合は、実績が少ない為に確実性という面では信憑性が低くなってしまうのが現状ではないでしょうか。
高額の売電単価から、小型風力発電は注目が集まり拡大が期待されています。しかし、「風」の確実性の高いデータや成功例が増えなければ、市場全体のコストが下がらない状況は続くかもしれません。現在ではリスクが高いビジネスという見方もあるかもしれませんが、各メーカーが日本国内に続々と参入していることから、今後コストダウンが期待できます。購入検討される際はマーケットの現状を慎重に見極めて、判断していきましょう。
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