白熱電球(はくねつでんきゅう)には、「フィラメント」というものが使われていることを知っていますか? このフィラメントは、白熱電球に明かりをともすために必要な部品です。白熱電球はエジソンが実用化(じつようか)に成功しましたが、実は日本とも深い関わりがあるんですよ。
フィラメントは何から作られているのか、そして日本とどんな関係があるのか、今回はそんなフィラメントについてご紹介します。
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今の白熱電球に使われている「フィラメント」は、おもにタングステンという金属(きんぞく)でできています。白熱電球に電気を通すことで高温になったフィラメントが光り、その光を利用してまわりを明るく照らしているのです。英語では「細い糸」という意味があるとおり、白熱電球のなかにあるフィラメントも細い糸のように見えます。
※画像の光っている細い部分が「フィラメント」です。
白熱電球の寿命(じゅみょう)は、1,000時間から2,000時間ほど。しかし白熱電球の研究がおこなわれていた1870年代は、フィラメントに炭化(たんか・※)した紙が使われていたのです。そのため、1分ほど光るとすぐにフィラメントが燃えてしまい、ふだんの生活で使えるほどのものではありませんでした。
※燃やすことで「炭素(たんそ)」の多い物質になること
エジソン(トーマス・アルバ・エジソン)の名前は、だれもが聞いたことがあるのではないでしょうか。発明王として多くの発明品を残したエジソンは、白熱電球を実用化させることに成功しました。フィラメントの問題はエジソンもとても苦しんでいましたが、何百回、何千回とあきらめることなく実験をくりかえしたのです。
長持ちするフィラメントを作るため、さまざまな素材をためしていたエジソンの元に、思いがけないものが届きます。それは、扇子(せんす)でした。中国のお土産だという扇子には、竹が使われていました。その竹を使ってフィラメントを作ると、200時間ものあいだ光り続ける白熱電球ができあがったのです。
その後、エジソンは世界中の竹を集め、フィラメントに最もふさわしい竹に出会います。それが、日本の竹です。その竹は、京都の石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)に生えていたもの。その竹から作られたフィラメントによって1,200時間の光を記録し、白熱電球が実用化される第一歩となりました。
エジソンはさまざまな素材でフィラメントを作り続けるなかで、木綿糸にタールを塗ったフィラメントで45時間の明かりを実現させました。しかしそこで満足せず、さらに長時間使い続けられるフィラメントの素材を探し続けたのです。
あきらめることなく研究され続けたのは、白熱電球だけではありません。わたしたちの生活を支えるさまざまな電化製品も、大勢の人々の研究や努力がつまっています。
これからは、白熱電球よりもLEDを使うことが増えていきます。しかし、わたしたちの生活を豊かにしてくれた白熱電球にどのようなエピソードがあったのか、忘れないでいたいですね。