「離島(りとう)」、つまり離れた場所にある島では、どうやって電気を手に入れていると思いますか? 発電所がないのに、電気を使う生活をしている離島はたくさんあります。では、その電気はどこから来るのでしょうか。
世界中にある離島のなかには、発電機を利用してほんのわずかな電気を使う島もあれば、電気のない生活をしている島もあります。離島の電気に関する事情(じじょう)は、それぞれの国、それぞれの島によってさまざまです。
今回はとても身近な、日本の離島で使われる電気についてご紹介します。
離島への電気は、本土(本州や四国、九州、北海道)から送られています。その方法は、「海底ケーブル(かいていケーブル)」と「架空電線(かくうでんせん)」。海の底のケーブルと、電線を使って電気を送るなんてとてもすごいことですね。それでは海底ケーブルと架空電線、それぞれの特徴(とくちょう)について見ていきましょう。
海底ケーブルは、なんと海の底に埋められているのです。海底に置かれているのではなく、海底からさらに最大1.5メートルほど深い場所に埋まっています。
海水の塩分や水分、波などでいたんだりしないよう、内部の電力線は鉄線や防護管(ぼうごかん)で守られています。また、40kmから100kmごとに中継機(ちゅうけいき)で海底ケーブルをつなぎ、長い距離をわたしていくのです。
海底ケーブルで送ることができるのは電気だけではありません。離れた島や、世界中との通信をするために、光ファイバーの通信ケーブルが海底ケーブルに入っていることがあります。遠く離れた、海の向こうの国とも海底ケーブルでつながているなんて、ふしぎな感じがしますね。
海底ケーブルの設置(せっち)は、工事用の船と「ジェット埋没船(まいぼつせん)」によっておこなわれます。工事用の船から降ろされた海底ケーブルを、ジェット埋没線が海底の砂に埋めていくんですよ。浅いところでは、人の手で埋める作業がおこなわれます。海底ケーブルには、たくさんの人々の技術が詰め込まれているのです。
架空電線は海底ケーブルのように特別なものではなく、わたしたちの生活のすぐそばにあります。わたしたちの家に電気を送る電線は、電柱によって空中に張りめぐらされています。このように空中にある電線を「架空電線」というのです。
離島にもこの架空電線で電気を送ることがあります。海をわたるわけですから、もちろん電柱ではなく、大きな鉄塔(てっとう)を使用して電線を張りめぐらせています。しかし、天気の影響(えいきょう)を受けやすかったり、大きな船がひっかかってしまったりする場合など、架空電線では難しい場合は海底ケーブルを利用します。
このようにすべての離島に架空電線を使うわけではなく、それぞれの状況(じょうきょう)に合わせて使い分けているのです。
海底ケーブルは19世紀から存在していました。最初につくられたのは、1850年のこと。フランスとイギリスをつなぐためだったといいます。100年以上も前から、海底ケーブルは人々の生活の近くにあったのです。
海底ケーブルも、架空電線も、より便利な生活のために古くから考えられ、開発されてきました。旅行などで離島に行ったときには架空電線を探してみたり、海底ケーブルのことを思い出してみてくださいね。