わたしたちの生活で使われている電気。その電気は「発電所(はつでんしょ)」で作られています。「火力発電所(かりょくはつでんしょ)」や「水力発電所(すいりょくはつでんしょ)」、「原子力発電所(げんしりょくはつでんしょ)」など、さまざまな種類がある発電所。それぞれちがう方法で発電をし、わたしたちの家に電気を届けてくれています。
今回は火力発電所で使われている「燃料(ねんりょう)」に注目! 火力発電にはどんな燃料が使われているのか、くわしく見ていきましょう。
※画像は火力発電所の煙突です。
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火力発電に使われるおもな燃料は、「LNG(液化天然ガス)」と「石油」、そして「石炭」です。これらは「化石燃料(かせきねんりょう)」とよばれ、長い年月をかけて動植物などの死骸(しがい)などが変化したものなんですよ。
これらの燃料を燃やして水をあたため、発生した蒸気(じょうき)が「蒸気タービン」を回すことで電気を起こしています。
※画像は石油をためておく「石油コンビナート」です。
「LNG」は液化天然ガス(えきかてんねんガス)のこと。しかし「液化(えきか・液体になること)」しているガスだなんて、少しふしぎに感じてしまう名前ですね。このLNGは実際に、天然ガスを液体にしたものなのです。
天然ガスは地下にあるガス状の化石燃料。液体にするには、天然ガスをマイナス162℃まで冷やす必要があります。そうして冷やされた「液化天然ガス」を、海外(※)から船で輸入(ゆにゅう)しているのです。
液化した天然ガスは色もにおいもなく、また体積(たいせき)が600分の1と、とても小さくなります。たいへん低温でもあるため、とくべつな船で運ばれてくるんですよ。
液体のままでは、発電の燃料として利用することができません。海水などで温めることで元の気体(きたい)に戻して発電に使われるのです。
※オーストラリアやマレーシア、カタールなどさまざまな国から輸入しています。
「石油」は普段の生活でもよく見たり聞いたりしますね。家庭のストーブで使われている「灯油(とうゆ)」も石油から作られています。石油は、文字どおり「油(あぶら)」に変化した化石燃料です。海外(※)で採掘(さいくつ)された「原油(げんゆ)」を船で日本に運び、石油に加工して使います。
日本でも原油がほんの少しだけ採掘できますが、エネルギーとして利用しているものは輸入にたよっています。
※おもにサウジアラビアやアラブ首長国連邦(しゅちょうこくれんぽう)など、中東諸国(ちゅうとうしょこく)から輸入しています。
「石炭」は、地中(ちちゅう)に埋まっている化石燃料。黒い石のような見た目をしていて、「炭鉱(たんこう)」という場所で掘り出されています。日本でも昔はたくさんの炭鉱があり、日本中で石炭が掘られていたんですよ。
かつて石炭は火力発電の燃料の中心として使われていましたが、今ではそのほとんどを海外(※)からの輸入にたよっています。またLNGや石油とくらべ、燃やしたときの環境(かんきょう)への影響が大きいのもとくちょうです。
※オーストラリアやインドネシア、ロシアなどさまざまな国から輸入しています。
化石燃料は有限(ゆうげん・かぎりがあること)であると古くから言われてきました。石油もいつかなくなってしまう、石炭も、天然ガスも――となると、これらの化石燃料に変わる「燃料」やエネルギーが必要になりますね。
また日本の火力発電は燃料のほとんどを輸入にたよってしまっているため、将来(しょうらい)、世界情勢(せかいじょうせい)が悪化してしまったら、輸入ができなくなるリスクも背負っています。
いま、何度でもくり返して使える「再生可能エネルギー(さいせいかのうエネルギー)」の研究や利用も進み、太陽光発電を始めとしたエネルギーに関する対策(たいさく)が世界中で進められています。
火力発電に使われている燃料を知ることで、発電やエネルギーについて考えるきっかけにしてみてくださいね。子どもの自由研究のテーマにもぴったりですよ。