2016年(平成28年)4月1日に電力自由化が開始されました。これにより私たち消費者は、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。自由化が始まり1年半以上が経過し、現在では多くの新電力会社が市場に参入し、多くのサービスを展開しています。今回の全面自由化で私たちの生活はどう変わり、今後はどのような展開になっていくのでしょうか。
そもそもなぜ電気の自由化が始まったのでしょうか。まずは、電話事業の過去に遡って考えていきましょう。かつて電話事業は1社独占状態でした。その後、電話事業は民営化され、競合他社がひしめく中で技術革新や様々なサービスが登場し、急速なスピードで発展していきました。今ではほとんどの人がスマートフォンを持ち、固定電話がない家庭も増えています。このように電力業界でも自由化を行う事で、技術革新や新しいサービスが生み出されることが期待されているのです。この他にも、2011年に起きた東日本大震災での電力不足から、制度改革が必要である。という認識が拡大したことや、大手電力会社の独占状態からの脱却など、様々な理由があるとされています。
一般消費者の私達には聞き慣れない言葉ですが「特別高圧」という言葉があります。特別高圧とは、大規模工場やオフィスビルなどが該当する「送電電圧の規格の一つで、7000ボルトを超えるもの」をいいます。この特別高圧ですが、実は2000年3月に電力の小売り自由化が始まっています。その後、2004年4月・ 2005年4月には、中小規模の工場やビルなどが対象の高圧と言われる区分の自由化が始まりました。そして、高圧自由化から10年以上経過した2016年4月に一般家庭を含む低圧区分も自由化となり、「電力全面自由化」となったのです。あまり知られていませんが、段階的に電力自由化が広まっていったのです。
電力の全面自由化により多くの事業者が電力市場に参入しました。事業者が増える事で、価格競争や様々なサービス・料金形態が登場しました。例えば、大手ガス会社は電気とガスのセット割引を展開したり、携帯端末との組み合わせなど多岐に渡ります。2017年には小売電気事業者は全国で400社を超えているとされ、各社を合計すると700を超えるプラン数があると言われています。全面自由化により、自分のライフスタイルに合った電力プランを選べるようになったと言えます。
自由化が開始される前、電気料金を支払う際に「なんで電気はこの値段なんだろう?」なんて思ったことはありませんか?電気料金には【総括原価方式】という言葉が関わっていました。これは、コストと電力会社が得る利益が適正かを判断するものです。「この電気を作るのにこれだけのコストがかかっている。利益としては〇%を上乗せしてお客さんに販売したい。」というものを各電力会社は考え、国に申請を行うのです。申請を受けた国は【総括原価方式】をもとに、電力会社が申請した金額を審査します。これは、大切な資源である電力の値段を、電力会社が意図的に上げ下げできないようにするための施策でした。このような流れで、私たちが支払っている電気料金は決まっていたのです。
以前は電気料金を国が管理していました。電力自由化が進んでいる現在では、どうなったのでしょうか?自由化の名の通り、現在の電気は自由に売り買いされています。いくらで仕入れてもいいし、いくらで販売してもいいのです。ここで「電力事業者は、そもそもどこから電気を仕入れているのか?」という疑問点が上がります。自由化の前は、関東にお住まいの方は東京電力から、東海地方なら中部電力、九州なら九州電力から電気を買っていたと思います。実はこの大手電力会社の他にも、再生可能エネルギーや製鉄会社・製紙会社が電気を作っているのです。各電力事業者は、このような発電事業から電気を購入し、販売事業者として市場に販売を行っているのです。
日本では2016年に電力全面自由化がスタートしました。諸外国に目を向けると、ドイツでは1998年に、イギリスでは1990年に電力自由化がスタートしています。イギリスでは、自由化されてから一時期電気料金が40%もダウンしたようです。現在では、燃料の高騰や税金(再生可能エネルギー賦課金等)により電気料金は上昇しているようですが、制度自体の効果を考えたときには、電気料金の低下に寄与したという見方が出来るのではないでしょうか。このイギリスのパターンにおいても、自由化から実質的変化が起きたのは10年以上経過した後だと言われています。日本においても、制度上の効果が実感できるには多少の時間が必要になるかもしれません。
電力自由化により電気料金プランを選べたり、電気料金が下がるなどメリットが存在します。しかし、一つ注意しなければならない問題があります。それは環境問題です。電力が自由化になったという事は、それだけ各電力会社の生き残りをかけた競争が始まったことになります。そうなれば、国の補助だけでは追い付かない利益追求が始まる事を意味するのです。建設費用を考えなければ、原子力発電所は低コストで発電が可能です。言うまでもなく原子力発電には多くのリスクが潜んでいます。仮に、国民の反対が強まり原子力発電を稼働させないとなったらどうなるでしょうか。次にコスト面で目が向けられるのは、火力発電のはずです。環境に悪影響が出ようとも、品質が変わらなければ安いものが選ばれるのは避けられない事かもしれません。日本の再生可能エネルギーの中心である太陽光発電をはじめ、風力発電は現在拡大を続けています。さらに拡大を続け、再生可能エネルギーで作り出した電力で日本の電力を賄えるようになることを願っています。
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