沖縄の離島「宮古島」は、リゾートや不動産投資の場として大変人気があり、多くの人々が年間を通じて宮古島を訪れています。宮古島そのものの歴史も深く、数々の伝説や伝統のお祭りが残り、島の人々から今もとても大切にされています。
とくに「パーントゥ」は宮古島だけではなく、島外の人々にも知られる奇祭。そこで今回は、「パーントゥ」にスポットを当ててご紹介します!
奇祭として知られる「パーントゥ」ですが、重要無形民俗文化財やユネスコの無形文化遺産に指定されているお祭りです。宮古島では厄払いのための伝統あるお祭りとして、島の人々に古くから親しまれ、その伝統を受け継がれてきています。
パーントゥは、宮古島の島尻地区と上野野原地区で行われています。どちらも同じスタイルではなく、それぞれに内容が異なるお祭りです。
旧暦の9月上旬におこなわれる島尻地区のパーントゥでは、シイノキカズラの蔓草で作られた衣装を身に纏い、全身に泥を塗って仮面をつけた3人の神様が登場。そして厄除けや無病息災の祈祷として泥を塗りつけていくのです。
泥を塗りつける対象は、子どもから大人はもちろん、新築の家屋や鍵が開いている家などにも容赦なく塗りつけます。塗りつけられた泥はとても臭く、なかなか匂いが取れないほどです。また「ムトゥ」という聖域にあたるエリアでは、パーントゥが大人しくなる御神酒(泡盛)を飲ませるというしきたりもあります。
毎年多くの子どもたちが泣き、成長していく島尻地区。2019年は10月4日におこなわれ、地元の方々だけではなく報道陣や観光客も参加し、大変な賑わいだったとのこと。島尻地区以外の住民も、わざわざ訪れて厄払いをしてもらうこともあるそうです。
旧暦の12月、その最後の丑の日におこなわれている上野野原地区のパーントゥは、島尻地区とは異なる趣があります。島尻のパーントゥより知名度は劣りますが、この上野野原地区のパーントゥも、宮古島で大切にされてきたお祭りのひとつです。
内容は、ひとりの男子小学生がパーントゥの仮面をつけて先頭を進み、集落の厄払いをしていくというもの。小学生の後ろには、太鼓やホラ貝を奏でる少年たちや、悪霊払いのヤブニッケイの小枝をもった女性などが、決まった衣装に身を纏って続きます。
集落を回る際の「ホーイホーイ」というかけ声は独特ですが、島尻と比べて大人しい印象のお祭りです。「サティパロウ(里払い)」とも呼ばれています。
パーントゥはタイミングさえ合えば見学できる機会に恵まれますが、宮古島の大切な伝統行事。決してふざけて乱入するようなことはぜず、節度を守って参加したり、離れた場所で見守ったりすることが大切です。
また島尻のパーントゥは、泥を塗りつけられるという内容から、観光客とのあいだでトラブルが発生することも。島尻エリアを訪れるときは、パーントゥの時期かそうでないかを確認するといいでしょう。
もし島尻のパーントゥに参加したい場合は、決して住民の邪魔をしないようにし、そして汚れても良い服装で行くことをおすすめします。宮古島に伝わるお祭りを理解し、現地のルールをきちんと守るようにしてくださいね。