沖縄県を訪れた際、水牛が引く車「水牛車」を見かけた方や、実際に乗った経験があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。沖縄ならではの穏やかな風景とも言える水牛車は、「西表島」でも大活躍しています。
西表島では、由布島へ行く際に海を渡る手段として活躍している水牛車。今回は西表島の水牛車にスポットを当ててご紹介します。
水牛に引かれて、のんびりと進む水牛車。屋根がある座席で揺られながら、沖縄の美しい風景を眺めるのは実に穏やかでゆるりとしたひとときです。沖縄本島はもちろん、離島などでも見られる水牛車は、沖縄を訪れた際には一度は乗車したい乗り物と言えるでしょう。
水牛の大きな特徴は、すらりと伸びた大きく長い角。農業においても重要な役割を担うなど、沖縄では欠かせない存在でした。すらりと伸びた大きく長いツノは、ホルスタインなどのようにわたしたちがよく知る牛とは異なる特徴とも言えます。
水牛は、古来から沖縄に生息しているわけではありません。1933年に台湾から、耕地開拓のために石垣島に連れてこられたのが最初と言われています。水牛が沖縄に来てから、まだ100年経っていないのですね。ピーク時と比べると数は減っているものの、沖縄での水牛の存在感は高く、地元の人々はもちろん観光客などからも愛されています。
西表島でも水牛車に乗ることができます。西表島からはほんの400メートルほどしか離れていない由布島へ渡る際、水牛車が大活躍するのです。「島から島へ渡るのであれば船を」と思うところですが、西表島と由布島間の海の水深は、満潮であってもわずか1メートルほど。干潮であればさらに浅く遠浅の海でもあるため、船より水牛車が適しているのですね。なお、徒歩で渡ることもできます。
ゆっくりと歩く水牛は、400メートルの距離をおよそ15分ほどかけて由布島まで渡ります。由布島は、周囲がおよそ2.1キロほどしかない大変小さな島で、亜熱帯植物園になっています。西表島から由布島までゆるりと水牛車で渡り、穏やかなひとときを過ごす観光客も少なくありません。
沖縄の水牛車は、沖縄本島や西表島、竹富島などで楽しめます。沖縄本島では、「ビオスの丘」という自然植物園や、「備瀬(びせ)のフクギ並木」で水牛車に乗車することができます。
水牛車ではガイドさんが現地のことや水牛のことなど、さまざまな話を聞かせてくれます。ゆっくりと進む水牛車にただじっと乗っているのではなく、乗っている間もしっかり観光できるのは嬉しいですね。
水牛は人間に慣れているとともに、大変穏やかな性格をしています。それでいて、とてもデリケート。水牛車に乗るときや、現地で水牛を見る機会を得られたときには、身体に触らないようにするなど水牛への配慮が必要です。ガイドさんなどから注意事項の説明があれば、それらをしっかりと守るようにしましょう。
西表島では島内の大自然だけではなく、隣の由布島の熱帯植物園も堪能したいところです。由布島には「水牛の池」もあり、水辺で過ごす水牛の様子を観察することも可能です。島の自然だけではなく、水牛と、そして水牛車をじっくりと楽しんでみてはいかがでしょうか。