SDGsの6番目の目標に「安全な水とトイレを世界中に」というものがあります。上下水道が整備された日本で生活をしていれば、この目標はどこか遠い国のように感じるかもしれません。しかし世界では、安全な水とトイレに関わる課題が山積みになっています。SDGsのゴールとして設定されている2030年までに、おそらく水の問題はクリアできないかもしれません。今回はそうした水の問題から「飲料水」にスポットを当てて見ていきます。
国土交通省によれば、水道水をそのまま飲んでも大丈夫な国は、日本を含めて12カ国しかないとのこと。また、「そのまま飲めるものの、注意が必要」とされる国は32カ国で、世界196カ国なかでもたった12カ国(プラス注意が必要な36カ国)しか水道水を飲めないという事実は衝撃的ではないでしょうか。
「海外旅行では生水を飲むな」という定説があるとおり、海外で水道水をそのまま飲むことは推奨されず、ミネラルウォーター等を購入することが好ましいです。では、水道水をそのまま飲める国や、水道事情はどうなっているのでしょうか。
以下は、水道水をそのまま飲むことができる12カ国のリストです。基本的に先進国、そしてヨーロッパに多く見られます。またアジアでは、水道水を飲める国は日本のみとなっています。
日本に住んでいれば「水道水は飲めて当たり前」という感覚です。いっぽうで地域によって「あの地域の水道水は美味しい」「あの地域の水道水は不味い」などと言われ、水道水が美味しい都道府県のランキングも存在しています。しかし「不味い」とされる地域の水道水も、「そのまま飲む」ことが可能です。決して飲めないわけではなく、ただ単に地域差や味の問題と言えるでしょう。
この「そのまま飲める」というのは、SDGsの目標6にある「安全な水とトイレを世界中に」に密接に関連。日本のように「安全な水とトイレ」の両方を兼ね備えた国は非常に少なく、SDGsの目標を実現するためには途方もない労力と開発、先進国からの支援等を必要としています。
<参考資料>
令和3年版 日本の水資源の現況について(国土交通省)
水道水をそのまま飲むことができる、これは水道水を飲むことによる健康被害などが何もないことを意味しています。水道水を飲めない国では、水道水を飲むことによる感染症や下痢などの健康被害が見られます。煮沸すればOKであったり、歯磨きで口をゆすぐだけでもNGであったりと、世界の水事情は多岐にわたります。
もちろんこれは「水道がある」ことが前提です。水道はあっても下水が整備されていない国もあります。また、水道そのものがなく河川などの水を使用しなければならない国や地域もあります。世界では実に6億人以上もの人々が、「安心して水を飲める環境」での生活ができていないのです。
途上国では水道そのものがない国やエリアがあります。水道がない途上国の水事情は大変深刻です。水を入手する方法は以下が挙げられますが、決して清潔な水ではなく、飲むことで命に関わる感染症を患う危険性が常に潜んでいます。
整備されている井戸があれば良いですが、多くのケースではそれすら叶わない状況です。また住居・集落の近くに水源がなく、数km、数十kmと離れた場所まで何時間も歩いて水を汲みに行かなければならないケースも少なくありません。そうして汲んできた水で命を落とす人々は大変多く、途上国への水に関する支援は喫緊の課題でもあります。
世界中が抱える「水」の問題は多岐に渡ります。今回は飲料水についてスポットを当てましたが、飲料水だけを解決すれば良いわけではありません。水道がない国、水道があっても下水がない国などは「安全なトイレ」も手に入れることができていないケースが大半です。
飲料水とトイレの問題は異なるもののように見えますが、上下水道の整備が必要になり、確実に隣り合わせの、同一の問題と言えます。日本は飲料水もトイレも安心して使用できますが、だからこそ水の安全が得られない国にどんな形で支援していくかが大切ではないでしょうか。
エグチホールディングスはSDGsの実現に向けて取り組んでいます。