太陽光発電(たいようこうはつでん)をはじめとした、地球にやさしいエネルギーや技術はたくさんあります。それは、世界中でエネルギーに関する研究と開発がくりかえされてきたからです。今も新しい技術が世の中に飛び出し、新聞やテレビ、インターネットのニュースでも、新しい技術の話題をよく見かけることでしょう。
2018年2月19日に、NTTが新たな技術を開発したと発表しました。それは、「ツチニカエルでんち」。名前のとおり「土に還る(かえる)」電池なのです。今回はこの「ツチニカエルでんち」について見ていきましょう。
わたしたちが生活のなかで使っている電池には、いくつかの種類があります。そのどれもが、ゴミとして捨てるときには住んでいる地域のルールにしたがわなければなりません。
電池を燃えるゴミとして捨てられないのは、「レアメタル」を始めとした環境(かんきょう)に悪い影響(えいきょう)があるかもしれない材料が使われているから。いっぽう、「ツチニカエルでんち」は、土に還る「肥料成分(ひりょうせいぶん)」や「生物由来材料(せいぶつゆらいざいりょう)」で作られています。
では、「ツチニカエルでんち」は何に使われて、どんなことができると思いますか?
いま、わたしたちの身の回りには「IoT」を利用したものがあふれています。「IoT」とは、「Internet of Things」のこと。インターネットを通じて、「センサー」を取り付けたさまざまなものや情報がつながることをいいます。センサーを取り付けたものが今どんな状態にあるのか、インターネットを通じて知ることができるのです。
たとえば、センサーがある場所の温度や天気、センサーを取り付けた動物が今どこにいるのか、ほかにもさまざまな情報をセンサーとインターネットを通じて知ることができます。
「ツチニカエルでんち」はその「IoT」のセンサーに使われる電池として、研究と開発が進められてきました。
これから先の未来、「IoT」はさまざまな分野で使われていくことが予想されています。自然のなかの動植物などにもセンサーを取り付け、動物の生態(せいたい)を調べたり、土壌(どじょう)を調べて農業に役立てたりと、その可能性が広がっているのです。
自然のあちこちにたくさんセンサーをつけても、あとから回収することがむずかしくなるものが多くあります。それらを放置(ほうち)しておくと、センサー内の電池に含まれる有害な物質などが環境に影響を与えるかもしれません。
しかし「ツチニカエルでんち」なら、いつかは土に還ります。たくさんばらまかれたセンサーを、そのままにしておいても安心なのです。
「ツチニカエルでんち」はまだ実用化されていません。実用化までには、まだ改良をかさねる必要があるのです。しかしいつか必ず、この「ツチニカエルでんち」が「IoT」で大きく活躍(かつやく)する日が来ることでしょう。
電気やエネルギーは、地球の環境に影響を与えないものが研究され続けています。この「ツチニカエルでんち」も、電気やエネルギーの未来に欠かせない存在になるかもしれませんね。
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