いつも使っている「電気」や、電気を利用する道具は、わたしたちの生活になくてはならない存在です。そんな「電気」を食べる生き物がいるって知っていますか? 電気ウナギのように体内で電気を作っているのではなく、栄養として電気を外から取り入れるのです。
今回はそんな「電気を食べる生き物」について、一体どんな生き物なのかご紹介します!
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電気を食べる、つまり電気のエネルギーを取り入れて生きている生き物は、「バクテリア」のなかまです。いっぽう、わたしたち人間や動物は電気を食べることはなく、「食べ物」を食べてエネルギーに変えて生きています。
人間であれば、ご飯やパン、肉や魚、野菜などですね。牛は牧草(ぼくそう)、魚はプランクトンやほかの魚といったように、それぞれにひつようとなる食べ物がちがいます。そして植物が育つためには、太陽の光や水がひつようです。「電気」を食べるなんて、わたしたちの「常識(じょうしき)」では考えられないことですね。
バクテリアとは、「原核生物(げんかくせいぶつ)」のこと。この原核生物には、細菌(さいきん)や藻(も)などがあります。とても小さくて、目に見えない生き物なのです。
「マイコプラズマ」という言葉を聞いたことがありますか? よく「マイコプラズマ肺炎(はいえん)という病気がニュースなどで話題になり、じっさいにかかったことがある人もいることでしょう。このマイコプラズマも細菌、つまりバクテリアのなかまなんですよ。
電気を食べるバクテリアは、わたしたちの身近にいるわけではありません。彼らは深い海の底、「深海(しんかい)」にいます。
生き物のなかには、植物のように太陽の光で光合成(こうごうせい)をしてエネルギーにする生き物と、硫黄(いおう)や水素(すいそ)といった化学物質(かがくぶっしつ)を使ってエネルギーを作り出す生き物があります。これらの生き物のほかに、電気をエネルギーにする生き物が深海にいるのです。
とても深い海の底では、太陽の光が届きません。しかし多くの生き物が生活をしています。プランクトンを食べたり、自分より小さな生き物を食べたり。そんな深海に、「電気」があることを2010年に日本のチームが発見しました。その電気とは、熱い水が深海の岩石にふれることで、電流ができるというもの。
深海に電気があるのなら、その電気を利用している生き物がいるのではと研究された結果、2015年に電気をエネルギーとするバクテリアが発見されたのです。
電気を食べるバクテリアがいるということは、他にも電気をひつようとする生き物の「生態系(せいたいけい)」が深海に広がっている可能性(かのうせい)があるということです。もちろん、それだけなら生物学(せいぶつがく)の話になってしまいます。
発見されたバクテリアには、とても弱い「電圧(でんあつ)」を強くする力がありました。その力を研究することで、わたしたちの生活で起こるエネルギー問題にも変化をもたらしてくれるかもしれません。弱い電気でも、元の力より強く使うことができれば、それはとてもすごいことですね。