毎日のように、「記念日」があることを知っていますか? ずっと昔からある記念日や、最近になって企業(きぎょう)などが作った記念日など、「記念日」にはさまざまなものがあります。
たとえば1月1日は「元旦(がんたん)」ですが、他に「鉄腕アトムの日」でもあるんですよ。このように、毎日のようにたくさんの記念日がありますが、そのなかに「電気記念日」があります。
では「電気記念日」とは一体どんな記念日なのでしょうか。今回は電気記念日についてご紹介します!
電気記念日は3月25日。この3月25日とは、明治11年(1878年)3月25日に日本の公の場(おおやけのば)で初めて電灯の点灯に成功した日です。そして1887年(明治20年)3月25日から日本で家庭用の配電(はいでん)が始まった日でもあります。
電気に深いかかわりのある3月25日を「電気記念日」としたのは、昭和2年(1927年)のこと。「日本電気協会」が制定(せいてい)したんですよ。40~50年たってから記念日が作られたなんておどろきですね。では、電気記念日には一体どんなことがあったのか、くわしく見ていきましょう!
※画像は「アーク灯」です。
明治11年の3月25日は、「東京電信中央局(とうきょうでんしんちゅうおうきょく)」の開業を祝う祝賀会(しゅくがかい)がひらかれた日。この祝賀会では、当時の政府(せいふ)にあった「工部省(こうぶしょう)」で、「工部卿(こうぶきょう・今でいう長官)」をつとめていた伊藤博文(いとうひろぶみ)が考えたイベントがおこなわれました。
そのイベントとは、日本で初めて電灯をともすというもの。当時の電灯はまだ白熱電球(はくねつ電球)ではなく、「アーク灯」という放電(ほうでん)を利用した電灯でした。この「アーク灯」を、工部大学校のエアトン教授(きょうじゅ)という人物の指導のもと、点灯させることに成功したのです。
※翌年の1879年に、エジソンが40時間以上光続ける白熱電球の開発に成功しました。
明治11年のアーク灯点灯のときには、まだ日本のどこでも電気が使えるわけではありませんでした。アーク灯の光も、祝賀会に参加した人などは見ることができましたが、市民にとってはまだ見ることすらできないものだったのです。
明治15年(1882年)に「東京電灯会社(とうきょうでんとうがいしゃ)」が街灯(がいとう)を設置すると、ようやく人々も電灯を見ることができるようになりました。その街灯は銀座(ぎんざ)にあり、当時は多くの人々が見物したといいます。
その後、明治20年になってようやく家庭への電気の供給(きょうきゅう)、つまり配電がおこなわれることになりました。この配電がおこなわれた日は、かつてアーク灯がともされた日と同じ3月25日だったのです。
アーク灯、つまり電灯が日本の公の場で初めてともされた日から140年。今では電灯を始めとした電化製品(でんかせいひん)や、それらを動かす「電気」は、なくてはならないそんざいになりました。わたしたちの生活のすぐそばにある「電気」を、ふだんなにげなく使っているのではないでしょうか。
そんな日本の家庭で使う電気は、「初めて電灯がともされた」「家庭に配電された」といったイベントから始まっています。「電気記念日」があるということを通じて、電気をより深く知ることができるといいですね。