食べ物や飲み物を温めるとき、「電子レンジ」を使うことが多いのではないでしょうか。電子レンジのなかに温めたい飲食物を入れて、スイッチを押して……冷たい物でもかんたんに温かくなるのが、電子レンジのとくちょうですね。
電子レンジはどうやって中に入れた物を温めているかわかりますか? そこで今回は、電子レンジのしくみについてご紹介します!
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食べ物や飲み物を温めるとき、電子レンジのなかには「マイクロ波」という「電磁波(でんじは)」が飛んでいます。このマイクロ波があることで温めることができるのですが、ではマイクロ波とは一体どんなものなのでしょうか。そしてなぜマイクロ波で温めることができるのでしょうか。
マイクロ波とは、周波数帯(しゅうはすうたい)の波長(はちょう)が短い「電磁波」のこと。「電磁波」とは空間のなかにある電界(でんかい)と磁界(じかい)と呼ばれるものが、お互いにえいきょうしながら作られる波で、マイクロ波もそんな電磁波のなかまなのです。
マイクロ波は、水に吸収(きゅうしゅう)されるというとくちょうがあります。このとくちょうが、電子レンジのしくみに関わっているのです。
電子レンジには、「マグネトロン」という電子管(でんしかん)があります。このマグネトロンから発生したマイクロ波は、食べ物や飲み物が持つ「水分」を振動(しんどう)させます。
水を作っている「水分子(みずぶんし)」にはプラスとマイナスの電荷(でんか)があります。これらのうち、プラスの電荷の向きをマイクロ波で何度もはげしく変えることで、水分子が振動し、こすれあって熱を発します。
この熱は、摩擦熱(まさつねつ)とよばれるものです。手をこすり合わせると、温かくなりますね。これも摩擦によるもの。水分子同士の摩擦熱によって、食べ物や飲み物が温まるのです。
水分子をマイクロ波で振動させることが、物を温めるしくみです。つまり水分をふくんでいない物は温められないということになりますね。水分が少ない食べ物を温めるときは、水でぬらすなどの工夫が必要になります。
水分をふくんでいても、電子レンジにかけて温まることで水分がなくなってしまうことがあります。水分のないものは、電子レンジで温めようとするとこげてしまいます。うすく切った野菜などを電子レンジにかけるときも、温めすぎないように気をつけるようにしましょう。
電子レンジを発明したのはアメリカのパーシー・スペンサーという人物です。マグネトロンを使った軍事用(ぐんじよう)のレーダーの近くで、ポケットのなかのチョコレートが柔らかくなっていることに気がつきました。それが電子レンジ発明のきっかけと言われています。
マイクロ波は、目には見えない電磁波です。わたしたちが電子レンジで食べ物や飲み物を温めているときも、もちろんなにも見えません。そんなマイクロ波は、いつも電子レンジのなかでがんばってくれています。飲食物を温めるときには、マイクロ波が発生していることを思い出してみてくださいね。