わたしたちがふだん使っている電気は、「発電所(はつでんしょ)」で発電されたものがほとんどです。例外として、電池でうごく道具や、屋根の上に設置された太陽光パネルで作られた電気などがあります。しかしそれ以外の電気は「発電所」から送られるものばかりです。
日本には、「原子力発電所(げんしりょくはつでんしょ)」や「火力発電所(かりょくはつでんしょ)」、「水力発電所(すいりょくはつでんしょ)」などさまざまな発電所があります。では日本で最初につくられた発電所はどんな発電所だったのでしょうか。
発電所の種類の数だけ「最初の発電所」があります。そこで今回は、日本で最初につくられた「火力発電所」についてご紹介します!
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世界で最初の発電所(※商用の発電所)は、1882年にエジソンによってニューヨークのマンハッタンにつくられた火力発電所です。その発電所では、石炭(せきたん)による蒸気機関(じょうききかん)での発電がおこなわれていました。
それから5年、1887年(明治20年)に日本でも火力発電所「第二電燈局(だいにでんとうきょく)」がつくられたのです。「東京電燈株式会社(とうきょうでんとうかぶしきがいしゃ)」という会社がつくり、この会社も日本で最初の「電力会社」となりました。
また日本の公の場(おおやけのば)で、初めて電灯を点灯させた1878年(明治11年)から9年後のできごとでもあったのです。
「第二電燈局」は、東京都中央区日本橋茅場町にありました。東京メトロの「茅場町駅(かやばちょうえき)」の近くです。今はもう、第二電燈局はありません。「相鉄(そうてつ)フレッサイン」というビジネスホテルの前に、「電燈供給発祥の地碑(でんとうきょうきゅうはっしょうのちひ)」という記念碑(きねんひ)があるのみとなっています。
第二電燈局では、石炭を使って発電をしていました。その発電量は、25kW(キロワット)ほど。現在、東京電力の「鹿島火力発電所(かしまかりょくはつでんしょ)」の1号機~6号機が440万kWもの発電をしていますから、とても少ないことがわかりますね。
25kWがどれくらいの電力量なのかそうぞうできますか? 1kWは1,000W(ワット)ということから考えてみましょう。1,000Wということは100Wの電球が10個分、25kWでは100Wの電球が250個分ということになります。とても少ない発電量ですが、当時は電化製品もなく、電燈(でんとう)に使うための発電だったため、これくらいの発電量でも足りたのです。
第二電燈局は1896年(明治29年)までの9年間、発電をしていました。発電を終えたあとも、配電所として電気にかかわっていたのだそう。最初の火力発電所は25kWというとても少ない発電量でしたが、それから130年以上がすぎて数百万kWもの発電ができるほど技術が進歩しました。
ビジネスホテルの前に記念碑があるのみとなっている第二電燈局。もし近くに行くことがあったら、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。100年以上続く日本の発電所の歴史を、ほんの少し感じることができるかもしれませんね。