わたしたちが毎日使っているテレビや、部屋の明かり、家のなかにあるさまざまな電化製品は、すべて電気によって動いています。つまり、わたしたちの生活に電気はなくてはならないものということです。
その電気がどこからやってきて、どのようにして電化製品を動かしているのか考えたことはありますか? 今回は、電気がどこで作られて、どこからやってくるのか見ていきましょう。
わたしたちが使う電気は、「発電所」で作られています。発電所にはたくさんの種類がありますが、それぞれの発電所で、それぞれちがう方法で電気が作られているのです。
日本ではおもに「火力発電(かりょくはつでん)」「水力発電(すいりょくはつでん)」「原子力発電(げんしりょくはつでん)」を利用しています。
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「火力発電所」は、火が燃える力を利用して発電をするところです。石炭や天然ガス、石油などの「化石燃料(かせきねんりょう)」を燃やして、その熱によって水を水蒸気(すいじょうき)に変えます。水蒸気の力で発電機につながる「タービン」と呼ばれる羽根車を回して発電しています。
燃料の量によって発電を調整できますが、二酸化炭素(にさんかたんそ)をたくさん出してしまうので、「地球温暖化(ちきゅうおんだんか)」の原因ともいわれています。
「水力発電所」は、名前の通り、水の力を利用した発電をしています。高い場所から水が落ちるときの勢いを利用して、水車を回して発電しているのです。
たくさんの水を必要とするため、ダムや貯水池、川などに発電所があります。
「原子力発電所」は、「ウラン」という放射性物質(ほうしゃせいぶっしつ)を燃料とした発電をしています。原子炉(げんしろ)で「ウラン原子」に中性子をぶつけてぶんれつさせ、「核分裂(かくぶんれつ)の熱を利用しています。
少しの燃料でたくさんのエネルギーを作れますが、放射線の発生にはとても気をつけなくてはいけません(現在は、原子力発電所のほとんどが活動を止めています)。
発電所で作られている電気は、およそ数千~2万ボルト! ボルトとは、電気を押し出す力、つまり「電圧(でんあつ)」のこと。わたしたちの家庭で使われる電圧はおよそ100ボルトですから、発電所のすごさがわかりますね。
画像は「変電所(へんでんしょ)」です。電気を送るために欠かせない変電所や「送電(そうでん)」について、見ていきましょう。
発電所で作られた電気は、発電所の中にある「変電所」で27万~50万ボルトというとても高い電圧に変えられます。
なぜ高い電圧にしなければいけないかわかりますか? 電気をたくさん送ろうとすると、送電線(そうでんせん)を電流が流れて熱(ジュール熱)を発生します。その熱の分、たくさんの電気がムダに消費されてしまうのです。
高電圧にすると、電流が少なくなるというとくちょうがあります。ジュール熱は、電流が多いほどたくさん出ますので、電流を少なくすればいいのです。そのため、電気が高電圧に変えられているというわけです。
発電所で作られた電気は、電線を通ってわたしたちの家にそのまま送られてくるのではありません。発電所で作られた電気は、先ほどお話ししたとおり、「高電圧」になっています。
高電圧のまま、わたしたちの家にある家電製品を使おうとすると壊れてしまい、わたしたちにとっても危険なのです。そのため、ふたたび「変電所」を通って、生活で使用できる電圧に変えられるのです。
それぞれの発電所で作られた電気が変電所に集まって、ミックスされます。その後、「1次変電所」や「中間変電所」、「配電用変電所(はいでんようへんでんじょ)」といった、たくさんの変電所を通り、遠くから少しずつ形を変えて運ばれてきます。
わたしたちの住む街の中で、たくさん見かける電線。電気はその電線を通り、電柱の上にある「変圧器(へんあつき)」でさらに電圧を変えてわたしたちたちの元へ届くのです。工場のようにたくさんの電気を必要とする場所には、高い電圧のまま送られる場合もあります。
街の中にある電線は、電気を必要とする場所に必要な形で送るという、とても重要な役割があるのです。
電気は、発電所や変電所などたくさんの場所を通り、長い旅をしてわたしたちの元に届きます。電気がどのように作られてどこから来ているのかを知ることで、電気をこれまで以上に大切に使いたくなりますね。
画像は、電柱にある「柱上変圧器(ちゅうどうへんあつき)」です。まずは、家の外に出てみましょう。電柱を見上げ、電線と「変圧器」を観察して、電気の長い旅を想像してみてくださいね。