バリ島での初の世界遺産登録は、2012年のこと。それ以来、多くの人々がバリ島の世界遺産に足を運んでいます。今回はバリ島の世界遺産をピックアップ! バリ島を訪れた際に、ぜひ立ち寄りたいスポットをご紹介します。
「トリ・ヒタ・カラナ」とは、バリ・ヒンドゥー教の哲学。自然と神と人が共存するバリ島において、それらの調和を大切にしている哲学です。それぞれサンスクリット語で、「トリ」は「3」を表し、「ヒタ」は「安全、繁栄、幸せ」、そして「カラナ」は「理由、原因」という意味を持っています。
「スバック」とは、9世紀から続くバリ島の農民によって構成された水利組合のこと。「トリ・ヒタ・カラナ」の考え・哲学に基づいて作られたシステムで、水を公平に分配したり、「スバック寺院」で水に関する神への崇拝や祈りなどをおこなったりと、神と人と自然の調和を表している伝統的な組合です。
このスバック灌漑システムによる景観や寺院などが、世界遺産として登録されています。
ペクリサン川の流域にあるスバック景観は、スバックシステムによる棚田が広がっています。9世紀に建てられた寺院「ティルタ・ウンプル」は、伝説や神話にも登場するほど。ペクリサン川流域はとても神聖な場所でもあり、「トリ・ヒタ・カラナ」の全てが詰まっているかのようなエリアです。
カルデラにあるバトゥール湖と、ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、それぞれがバリ島の世界遺産を構成する要素。しかしこの2カ所はとても関係が深く、片方を訪れるなら必ずもう片方も訪れておきたい場所です。
バトゥール湖には、湖の守護神である女神「デウィ・ウルン・ダヌ」がいるとされ、その守護神を祀っているのがウルン・ダヌ・バトゥール寺院。バトゥール湖の守護神は泉や川を作った神とされ、それは「スバック」にとっても欠かせない大切な存在となっています。
※マップのウルン・ダヌ・バトゥール寺院の右にある湖が、バトゥール湖です。
米の生産量が多いジャティルイ村の棚田は、スバックシステムの様子をありのままに見ることができる場所でもあります。手つかずの自然が残る大穀倉地帯で、棚田の規模も圧巻。村の名前である「ジャティルイ」には、「本当に素晴らしい」という意味があり、村の名前通りの素晴らしい棚田と景観を楽しめます。
「美しい寺院」という意味を持つ「タマン・アユン寺院」には、「メル」と呼ばれる塔が建ち並びます。1634年にムングウィ王国が作った寺院で、バリ島では2番目の規模。それぞれのメルで神様を祀る、神聖な場所です。
寺院の周囲には掘があり、その掘の水は周辺地域の田畑へと流れて農耕に役立てられているという、「トリ・ヒタ・カラナ」のあり方が強く感じられる寺院でもあります。
どのエリアも神聖であり、寺院はより深く「トリ・ヒタ・カラナ」を感じられる場所。現地では神聖な場所での肌の露出は好ましくないため、とくに寺院を訪れる際には、露出の少ない服装がいいでしょう。神聖な場所でバリ島が培ってきた長い歴史に触れ、自然と人との共存を感じてみてくださいね。