沖縄の離島「西表島」は八重山列島に属し、古来からのジャングルなどが残る自然豊かな島として知られています。またイリオモテヤマネコをはじめとした希少な動植物も多く生息。観光地としても人気が高く、西表島の自然に触れるべく多くの人々が訪れています。
西表島の先史時代の遺跡には4,000年ほど前のものもあるなど、とても長い歴史を持つ西表島。今回は西表島の長い歴史を感じる史跡の数々から、3カ所をピックアップしてご紹介します。
<関連記事>
宮古島の歴史に触れる、歴史的建造物や史跡を紹介
石垣島の歴史を肌で感じる史跡巡り!おすすめ史跡3選
今回は数々の史跡のなかから、「宇多良炭鉱跡」、「新盛家住宅」、「仲間第一貝塚」をご紹介いたします。
最初にご紹介するのは、「宇多良炭鉱跡(うたらたんこうあと)」です。浦内川河口の支流、宇多良川の上流にあり、1935年から1943年ごろまで稼働していた炭鉱の名残を今に残す史跡です。宇多良炭鉱は西表炭鉱のひとつ。浦内川の駐車場や遊覧ボート乗り場から、ジャングルのなかの遊歩道(およそ1km)を通って炭鉱跡まで行くことができます。
西表炭鉱は沖縄でも唯一の炭鉱とされ、沖縄の歴史においても大きな存在感を放っています。経済産業省が認定する近代化産業遺跡群にも認定され、今もわずかに残るレンガの柱などを見ることができます。ジャングルを切り開いて作られた炭鉱のため、現在は木々が生い茂り、自然の力も感じさせられる史跡です。
続いてご紹介するのは、祖納集落内にある「新盛家住宅(しんもりけじゅうたく)」です。木造の茅葺き屋根が特徴的で、西表島の木材を使用して建てられた民家です。
この新盛家住宅は、築年数およそ150年。沖縄県内で現存する木造茅葺きの民家としては最古のものであり、歴史的価値も高い建造物です。建築の際には「貫屋(ヌキジャー)」という伝統的な手法が使われ、釘などを一切使用していません。
またテーブルサンゴを使用した石垣や、フクギの木による防風林なども現存しています。西表郷土文化伝承館とされているほか、沖縄県指定建造物にも指定されています。新盛家住宅は、沖縄や西表島の文化を伝える貴重な史跡です。
最後にご紹介するのは、およそ1,000年~1,200年ほど前の暮らしを今に伝える、新石器時代の無土器遺跡「仲間第一貝塚(なかまだいいちかいづか)」です。現地には石碑が建てられており、貝塚の詳細がわかるようになっています。
仲間港から徒歩15分ほど、仲間川の河口にあるこの貝塚では、さまざまな出土品が出ています。出土したのは貝製品貝殻、石器、焼石、開元通宝などさまざま。石器が多く出ていること、そして土器が一切出ていないという特徴があります。
現地には詳細が記載された石碑があり、1,000年前の西表島での生活の様子を垣間見ることができる史跡です。
西表島の史跡のなかから、3カ所をピックアップしてご紹介いたしました。西表島と言えばジャングルや海など、豊かな自然がクローズアップされることが多いですが、興味深い歴史や史跡が多いことも注目したいポイントです。西表島を訪れる際には、ぜひ史跡の数々も訪れて歴史に触れてみてはいかがでしょうか。