竜宮城に関する伝説や物語は日本各地にあります。最も有名なのは、「浦島太郎」ではないでしょうか。そんな竜宮伝説ですが、実は宮古島にもいくつか残されているのです。とくに宮古島の隣、「来間島」には「竜宮城天文台」があるなど、宮古島周辺では宮古島との深い縁があることが伺えます。
美しい海とサンゴ礁に囲まれた宮古島ですから、竜宮伝説があるのもうなずけますね。そこで今回は、宮古島に伝わる竜宮伝説をふたつ、ご紹介します!
宮古島に伝わる竜宮伝説で有名なものはふたつ。「むまの按司(あず)」という女神の話と、「エイ」が女性に変身する話。そのうち、「エイ」の話は、誰もが知る「浦島太郎」にどこか似たストーリーで、何らかの繋がりを感じさせてくれます。
最初にご紹介する伝説は、大津波によって両親を亡くした男「さあね大ち(サニャープズ)」と、竜宮から来たという「むまの按司(女神ムマニャーズ)」が夫婦となる話です。女神は海から現れ、「最初に出会った人と結婚しなければならない」と言い、男はそれを最初は拒みますが、やがてふたりは結ばれ7男7女をもうけます。
しかし女神はやがて「竜宮に帰らなければならない」と言い、夫や子ども達を残して海へ、そして竜宮へと帰ってしまうのです。その後、「ナーパイ」という祭祀が誕生、これは成長した子ども達に女神が教えたものと言われ、五穀豊穣や大津波の難を回避するための祈願として、宮古島市城辺砂川で古くから続いているのです。
女神が「もう誰も夫のように津波で悲しい思いをする人がいないように」と願って、「ナーパイ」の儀式について教えたあと、大きな魚となって海に消えたという話もあります。
この話では大津波が登場しますが、宮古島における津波に関する伝説は他にもあり、古くから地震や津波と戦ってきた島の様子がうかがえます。
続いての伝説は、湧川のマサリヤという漁師(もしくは農夫)がエイを釣り上げたことから始まります。マサリヤがエイを釣り上げると、そのエイがなんと美女に変身。マサリヤは美女を気に入り、ふたりは一夜を共にします。しかし翌朝目を覚ますと、美女はどこにもいません。
マサリヤは美女に再び会えることなく日々を過ごし、数ヶ月後に再び同じ場所で釣りをしていました。すると海から幼い子どもが現れ、マサリヤを「お父さん」と呼びます。そして「竜宮城へ連れて行く」と。「お父さん」と呼ばれたことを不思議に思い子どもを問いただし、マサリヤは一夜を共にした女性を思い出しました。そして竜宮城へと行くことに。
竜宮城ではあの日のエイ――女性と再会、楽しく日々を過ごしますが、やがて海底での生活に飽きたマサリヤは地上へ戻ります。地上へ戻る際に、女性からお酒が入った壺を渡されるマサリヤ。海底には3日ほどいただけなのに、地上では3年3ヶ月もの年月が過ぎていました。
壺のお酒は大変な美味で、またなくなることなくわき出ることから、マサリヤはお酒を売って富を得ます。しかしそのお酒に飽きて「もういらない」と言ってしまったとき、壺は白鳥に姿を変えて飛び去ってしまったのです。
話によっては、白鳥が飛び去ったあとに「マサリヤが老人になってしまった」という結末や、「財産などを全て失ってしまった」という結末も。いずれにしても、どこか浦島太郎に通じる、そして似ている伝説です。
宮古島を観光などで訪れる際には、ぜひ立ち寄る場所に「伝説」がないか、事前に調べてみてくださいね。伝説を知っていると、より宮古島を楽しむことができますよ。