SDGsが掲げる17のゴールのうち、私たちの生活に関わる課題のひとつが「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」です。地球上のエネルギー問題を解決し、すべての人々に安心安全なエネルギーを届けることを目標としており、日本政府をはじめ、自治体や企業、教育機関、各種団体など、さまざまな組織がSDGsの達成に向けた活動をおこなっています。
太陽、水、風、地熱など、化石燃料の代わりになるものとして導入が進められている再生可能エネルギー。なかでも、森林や農畜産業に由来する生物資源「バイオマス」は、二酸化炭素削減の有効な手段として注目を集めているエネルギーです。そこで今回は、自治体の「バイオマス」活用事例にスポットを当ててご紹介いたします。
バイオマスの活用事例にはさまざまなものがありますが、とくによく見聞きするのは「バイオマス発電」ではないでしょうか。バイオマス発電は、家畜排せつ物や木材、生ごみなどを燃料にして電気を起こす方法です。化石燃料を使わないため、地球温暖化問題に大きく貢献できる発電方法として位置づけられています。
日本では、バイオマス関連事業の推進に力を入れています。その目的には、「安定した電源の確保」「排出される二酸化炭素の削減」「地域経済の活性化」などが挙げられます。国だけではなく、各自治体単位でもバイオマス発電普及に向けた取り組みを実施しているのをご存知でしょうか。ここでは、「京都府京都市」「岡山県真庭市」「北海道下川町」の3自治体によるバイオマス活用事例をピックアップしてご紹介いたします。
京都府京都市は、環境にやさしく災害に強い循環型社会の構築を目指している自治体です。古くから人々の心に息づく「もったいない」「おかげさま」「しまつ（節約する）」の精神を活かし、バイオマスの利用拡大を積極的に進めています。
環境にやさしいまちづくりにつながる取り組みとして、京都市では家庭や飲食店などから回収される天ぷら油からバイオ軽油を製造し、ごみ収集車や市バスの燃料に利用しています。ごみとして出されるバイオマスを活用するため、二酸化炭素排出量はもちろん、ごみを減らすことも可能。バイオマスは、化石燃料に代わる新たなエネルギーといえるでしょう。
自然豊かな岡山県真庭市は、総面積約828.5キロ平方メートルのうち79.5%を森林が占めており、古くから木材の産地として有名です。林業の間伐や木材加工時に出る端材をバイオマス発電に活用するほか、木質資源の循環利用確立に向けた産業強化など、さまざまな取り組みが評価され、「自治体SDGsモデル事業」や「SDGs未来都市」に選定されています。
真庭市が取り組んでいるバイオマス関連事業のなかで、特に注目したいのが「バイオマスツアー真庭」。木材や生ごみの資源化、地元企業のバイオマス利用技術など、ツアーを通してSDGsについて学ぶことができますよ。
北海道下川町は、「バイオマス産業都市」、「環境モデル都市」、「環境未来都市」、「森林総合産業特区」など、複数の実績を持つ自治体です。今ほどエネルギー問題が取り上げられていなかった時代から「森林共生社会」を構想しており、森林バイオマスをはじめ、再生可能エネルギーの利用拡大や林業の人材育成、林業や林産業の活性化に向けた路網整備など、さまざまな形で地域活性化を図っています。
庁舎、公共温泉、町民住宅など、公共施設の約60%に木質エネルギーを導入した結果、2018年度は灯油換算で3,800万円の燃料費と二酸化炭素排出量の削減に成功。その削減額の一部はバイオマスボイラーの管理費、残りは子育て支援策に充当しています。森林バイオマスをエネルギーとして活用した下川町の取り組みは、サステナブルなまちづくりのヒントになるのではないでしょうか。
自治体のバイオマス活用事例にスポットを当ててご紹介いたしました。バイオマス資源は、環境へ負荷をかけずに発電できる地球にやさしいエネルギー源です。バイオマス発電量の割合は年々増加しており、二酸化炭素削減の有効的手段としてバイオマス発電に挑戦する自治体が多く存在します。
発電や車の燃料など、普段の生活のなかにもバイオマスは活用されています。身近なものでつくられるバイオマスエネルギーについて関心を持ち、未来のためにできることを考えてみてくださいね。
エグチホールディングスはSDGsの実現に向けて取り組んでいます。
