2021年8月9日、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した第6次評価報告書が大きな話題となっています。報告書では、地球温暖化の原因が人間であることに疑う余地がないと明言。これまで「地球温暖化の原因が人間にある」と言い切ることはなく、「極めて可能性が高い」という状況にとどまっていたことからも、今回の報告書は人間による環境への影響をより強く懸念し、危険な状況であることを伝えています。
地球温暖化は人間が排出する「温室効果ガス」によるものが大きく、その削減が喫緊の課題でもあります。しかしそれは国や政府が対策をするだけではなく、個人の対策の積み重ねも重要です。では個人でどうやって温室効果ガスの排出を減らしていけば良いのでしょうか。
地球温暖化による今後の気温の上昇や環境への影響、海面水位の上昇、異常気象にともなう自然災害などの危険性は深刻度を増し、温室効果ガス排出量の削減が強く求められます。2030年までに排出量を半減、2050年までにネットゼロ(※)にすることで、懸念される事態は大きく軽減・改善するという見方もあり、世界全体での温室効果ガス削減に関する対策強化が必要です。
温室効果ガスの削減は、個人でどこまで対策ができるのでしょうか。個人でできる対策は多いですが、なかには莫大な費用を要するものもあります。今回は大きな費用が不要で、すぐにできる対策を見ていきましょう。
※ネットゼロ:温室効果ガスの排出量に対して、森林などによる吸収量や除去量を差し引いてゼロにすること
温室効果ガスの代表的なものはCO2(二酸化炭素)です。このCO2は人間が呼吸をするときにも排出するものですが、発電の際にも排出されます。また家庭からのCO2排出量のうち電気が占める割合は多く、節電そのものがCO2排出削減に繋がります。
しかし無理な節電で健康状態や生活レベルを大きく損なってしまわないよう、注意が必要です。温暖化の影響もあり、日本では猛暑が大きな問題となっています。夏は冷房関係の家電が必須ですが、そこを節電してしまうのは大変危険です。自身の健康や生活を守りながら、無理のない節電をすることが大切です。
個人で温室効果ガスを抑制するために、移動手段を工夫するという方法があります。移動手段の工夫としては、1駅分歩く、公共の交通機関を活用する、自転車を活用するといった形が挙げられます。
これは、自家用車の使用を抑えることでCO2排出量を制限するというもの。エコを意識し、CO2排出量を抑制した車が主流になっていますが、それでも多少は排出されます。車は大変便利で、自宅から近い場所へ行く際にもつい使用してしまいがちです。ときには「車を使用しないで移動する」という選択をしてみてはいかがでしょうか。
温室効果ガスは自身が排出するもの以外にも、たくさん身の回りにあります。普段口にする食べ物も同様で、生産から店頭への配送までに、さまざまな形で温室効果ガスが排出されています。産地から売り場が遠くなればなるほど、排出量が増えると考えて良いでしょう。
産地から売り場までの温室効果ガス排出を削減するのに一役買うのが、「地産地消」です。地元で生産されたものを、地元で消費する。ただそれだけで配送にかかる温室効果ガスを大幅に削減できます。
野菜売り場などに「地産地消コーナー」が設けられているスーパーも増えてきています。全ての食材を地産地消に切り替えるのは難しいかもしれませんが、普段よく食べる野菜を数種類だけでも地産地消のものに切り替えてみてはいかがでしょうか。
また、地産地消が難しい場合は、国産の食品や製品に意識を向けるだけでも個人でできる対策のひとつになります。
SDGsでは2030年のゴールを設定し、17種類の目標を掲げています。なかには地球温暖化の解決が求められるものも多いですが、「ゴール」で全て終わりというわけではありません。また地球温暖化解決のために2030年までに温室効果ガスの排出量の削減が必要と言われますが、しかしそれも決してゴールではないとともに、SDGsのゴールとイコールではありません。
SDGsの各目標の達成や地球温暖化の解決に向けた対策は、「目標とした地点」に到達して終わりではなく、それを継続し、より改善していくことが重要です。地球温暖化に関する対策は、個人での積み重ねも求められます。今すぐできることから、ひとつずつ取り組んでいくことが大切です。
エグチホールディングスはSDGsの実現に向けて取り組んでいます。