世界が抱えるエネルギー問題は深刻で、SDGsにおいても目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」にてエネルギー問題への取り組みが求められています。すべての人々へのエネルギーサービスの供給や、クリーンエネルギーの研究などが盛り込まれ、その内容は環境問題にも深く絡んできます。
エネルギー問題、そしてSDGsの目標の重要なキーワードでもある「クリーンエネルギー」。「再生可能エネルギー」として知られるクリーンエネルギーにはさまざまなものがありますが、「海洋温度差発電(OTEC)」という技術があることをご存じでしょうか。今回はこの海洋温度差発電についてご紹介いたします。
海洋温度差発電(OTEC:Ocean Thermal Energy Conversion)とは、海面の水と深海の水の温度差を利用して発電する再生可能エネルギーです。1881年にフランスの物理学者によって提案されて以来、100年以上に渡って世界中で開発や研究、実験が続けられています。
日本では政府による技術開発への資金提供や、沖縄県久米島での実証実験などがおこなわれてきました。記憶に新しいところでは、この2022年4月に「商船三井」が沖縄での実証実験をスタートさせるニュースが報じられました。
深海から水をくみ上げる必要があることや、温度差が大きくなければできないことなど、海洋温度差発電には実現のための条件があります。海さえあればどこで良いというわけではありませんが、太陽光発電や風力発電とは異なり、エネルギー源が安定・一定しているという利点があります。
海洋温度差発電は、再生可能エネルギーのなかでも「海洋再生可能エネルギー」のひとつとして研究が進められています。文字通り、海を活用する再生可能エネルギーですが、この海洋再生可能エネルギーには複数の発電方法があることをご存じでしょうか。
今回ご紹介している海洋温度差発電のほかには、以下のような発電方法が挙げられます。
これらの海洋再生可能エネルギーのうち、実用化・商用化されているのは洋上風力発電のみ。しかし今後の実用化・商用化に向けて実証実験や研究などが続けられています。
現時点では、必要とする全ての電力を再生可能エネルギーでまかなうことはできません。海洋再生可能エネルギーの実用化・商用化が進むことで、エネルギー問題が抱える課題や未来が大きく動くことが期待されています。
海洋温度差発電は、海水の温度差を利用する発電方法です。つまり地球の環境そのものを資源としているとも言えるでしょう。それはほかの再生可能エネルギーにも当てはまるケースがあります。
再生可能エネルギーは、環境問題に配慮した、大気を汚さないクリーンエネルギーとしてSDGsでも目標内に組み込まれていますが、前述のとおり再生可能エネルギーだけでは心許ないのが現状です。
上記はSDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のターゲットの概要です。目標7の達成には、現在世界中で実用化され稼働している再生可能エネルギーによる発電だけではなく、これから実用化される再生可能エネルギーの技術も不可欠です。
今回ご紹介した海洋温度差発電をはじめ、SDGsより以前から研究や開発が進められている再生可能エネルギーは少なくありません。これから先、再生可能エネルギーの占める割合がどのように増えていくのか注視していきたいですね。
エグチホールディングスはSDGsの実現に向けて取り組んでいます。