投資をする方々にとって、投資先の選び方にはさまざまな理由や根拠を積み重ねたものであることでしょう。企業の体制や事業内容、将来性、株価の変動状況など、重要視する内容は多くありますが、「株主優待」も投資先選びにおいて大きなウェイトを占めるケースは少なくありません。
近年は主婦向けの雑誌などでも、「得する株主優待」といった特集が組まれていたり、株主優待で生計を立てる桐谷広人さんも注目を集めたりと、投資をしなくても「株主優待」の存在は広く知られるようになりました。
この株主優待でSDGsへの参加ができることをご存じでしょうか。今回は株主優待とSDGsにスポットを当てて見ていきます。
株主優待とは、株式を所有する株主に対し、その持ち株数に応じた「優待」をするというもの。配当金とは異なるシステムで、上場企業の全てが株主優待を設定しているわけではありません。
株主優待は多種多様で、企業が製造する商品や金券、地域の特産品などがあります。なかには「寄付」ができる優待もあり、SDGsとは切り離せない存在感を示すようになりました。
近年は株主優待によるSDGsを推進するために、日本証券業協会に「株主優待SDGs基金」も設置されるなど、積極的なSDGsへの取り組みが見られます。
株主優待でSDGsへの取り組みに参加できる例として、いくつかの企業をピックアップしてご紹介いたします。上場先と証券コードも記載していますので、実際に投資をされる際にはご参考ください。
サッポロホールディングスでは、株主優待に自社製品やグループのネットショップで使えるクーポンを設定。同時に「社会貢献活動への寄付」も選択できるようになっています。
2020年度においては、株主優待からの寄付金が139万9,000円に達したとのこと。そこにさらに同額を加算し、279万8,000円を東北の復興支援として寄付しています。
アサヒグループホールディングスでは、株主優待に自社製品と寄附を設定。寄附の場合は、「環境保全活動への寄附」、「災害支援活動への寄附」から選択ができます。通常であれば優待の品が届くところを、優待品に代えて持ち株に対応した金額を寄附することができます。
小林製薬は「300株以上かつ3年以上保有」という条件を満たす株主に対して、「復興支援選べるギフト」を展開。これは100株以上保有の株主への優待「5,000円相当の自社製品詰め合わせセット」と「当社通信販売製品の10%割引」に、追加されるものです。
「復興支援選べるギフト」はカタログギフトで、東北の特産品のほか、熊本や広島などの特産品も掲載されています。また「5,000円相当の自社製品詰め合わせセット」においても、選べる5コースが設定されていますが、社会貢献段階への寄付コースもあり、「300株以上かつ3年以上保有」の条件を満たさない株主でも、社会貢献への参加が可能です。
株主優待で寄付等ができるものとはまた別の取り組みとして、日本証券業協会に「株主優待SDGs基金」があります。この株主優待SDGs基金は、2019年4月1日に設置されました。
証券業界全体がSDGsに対して積極的に取り組むなか設置されたこの基金は、「WFP国連世界食糧計画」と「子供の未来応援基金」(内閣府運営)への寄付を実施。基金を支えるのは、社会貢献型の株主優待や、証券会社の受領する株主優待品です。
2021年度には証券会社等13社から寄付が集まり、その額はおよそ2,450万円。株主優待SDGs基金はダイレクトにSDGsへの取り組みを推し進めるものでもあります。これから先、SDGsの2030年のゴールへと向かってより注目されていくことでしょう。
株主優待に寄付や社会貢献を導入する企業は増えてきており、同時にSDGsへの取り組みも加速しています。株主優待での寄付や社会貢献は、SDGsに直結するのはもちろんですが、株主側が企業とともにSDGsに参加する機会とも言えます。
これから新たな投資をする場合は、しっかりと株主優待にも目を向け、SDGsとの関わりやつながりも意識してみてはいかがでしょうか。
エグチホールディングスはSDGsの実現に向けて取り組んでいます。