地球には、デンキウナギのように電気を体内で作る動物や、電気を食べるバクテリアなど、「生きるための活動に電気がかかわる生き物」がいます。そして人間の体のなかにも、とても弱い電気「生体電流(せいたいでんりゅう)」が流れています。自然のなかには、雷(かみなり)や静電気(せいでんき)があり、発電所(はつでんしょ)で作られた電気以外も、わたしたちの回りには「電気」があふれているんですね。
さて、世界の生き物のなかには、「太陽光発電(たいようこうはつでん)」をするハチがいることを知っていますか? 今回はそんな太陽光発電をするハチ「オリエントスズメバチ」について見ていきましょう!
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※画像はスズメバチのイメージで、「オリエントスズメバチ」ではありません。
スズメバチの仲間である「オリエントスズメバチ」は、地中海(ちちゅうかい)のまわりや、インド、アフリカなどにいるハチです。そのスズメバチが太陽光発電をしていることに気がついたのは、イスラエルにあるテルアビブ大学のマリアン・プロトキンさんがリーダーをつとめる、研究チームでした。
※画像はスズメバチのイメージで、「オリエントスズメバチ」ではありません。
オリエントスズメバチが太陽光発電をしていることは、2010年に発見されました。ハチには、おなかに茶色と黄色の「シマ」があります。日本のハチにもシマがあるのを見たことがあるのではないでしょうか。オリエントスズメバチはその茶色の部分で太陽の光を受けて、黄色の部分で電気を作っているのだそう。
しかしどのハチでも同じように発電をしているわけではなく、いまわかっているのはこのオリエントスズメバチだけです。また、オリエントスズメバチの発電の量は、わたしたちが知る太陽光発電にくらべればとても少ないもの。しかし再生可能エネルギーやエネルギー問題に、いつか何かのきっかけをくれるかもしれませんね。
オリエントスズメバチが太陽光発電をしていることに気がついたきっかけは、その活動のようすからでした。ハチを始めとした多くの虫や動物は、昼間のあいだに活動をします。しかしこのオリエントスズメバチは他の虫とはちがい、とくに太陽の光が強い時間にたくさん活動をしていたのです。そこから、太陽光発電をしているという研究が進んでいきました。
なにげなくオリエントスズメバチや他の虫をながめているだけでは、「太陽の光が強い時間にたくさん活動をする」なんてなかなか気がつきません。生き物の生態(せいたい)をよく知り、そしてよく観察(かんさつ)することから、始まっているんですね。
太陽の光のもとで生きる生き物の多くは、太陽のエネルギーを利用しています。植物も動物も、人間も、太陽のエネルギーをそれぞれにひつような形で利用しています。さらに恐竜(きょうりゅう)の時代には、太陽の熱を利用して卵を温めた恐竜がいるとも言われているんですよ。
オリエントスズメバチが太陽光発電をすると発見されたのは、2010年のこと。発見されてからまだ10年もたっていません。世界中には、たくさんの生き物がいます。オリエントスズメバチと同じように、太陽の光で電気を作る生き物が他にもいるかもしれないですね。