2021年4月、岐阜県に不登校の中学生を対象とした特例校「岐阜市立草潤中学校」が開校するのをご存じでしょうか。特例校はまだ数は少ないですが、不登校の子どもたちを支援するため、注目を集めています。
現時点では公立学校8校、私立学校9校の計17校を特例校として文部科学省が指定。特例校ではないフリースクールなどはもっと多く、さまざまな形で不登校の子どもたちへの支援がおこなわれています。
不登校の子どもたちへの支援はSDGsの観点からも重要で、「質の高い教育をみんなに」という目標からも、公平で不平等のない教育が求められます。そこで今回は「不登校」にスポットを当てて見ていきましょう。
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一昔前は「登校拒否」と呼ばれ、学校へ行くことをある意味「悪」としてみなす風潮もありました。教師が家まで来て無理矢理連れ出したり、子どもが訴える体の不調を「仮病」としてしまったり。令和となった現代では少し理解が進みましたが、まだ不理解に苦しむ子どもが多いのが現状です。
不登校になる理由はさまざま。「サボりたい」ではなく「行きたいのに行けない」ケースがとても多く見られます。また、不登校の子どもへの支援がなかなか行き届かない現状も見据えなければなりません。
不登校の子どもたちは、大人の想像を超える苦しみを抱いています。なぜ学校に行きたくないのか、誰にも語れないようなケースも。しかし無理に聞き出すのではなく、まずは「学校に行きたくない」「行けない」という状態を否定せず、受け止めることが大切です。
これらは不登校の原因のほんの一部です。子どもの数だけ不登校の原因があり、理由があります。「学校に行きたくない」は子どもからの何らかのSOS。複数の要素が絡み合っている例も少なくなく、まず周囲ができることは「受け止める」ことと「学校を休ませてあげる」ことです。
もちろん勉強が遅れることや将来への心配もありますが、学校に行かせるリスクのほうが高いケースもあることを念頭におかなければなりません。
不登校になると、学習の遅れや周囲とのコミュニケーション不足などが不安視されます。とくに学習の遅れは深刻な悩みです。しかし不登校の子どもたちへの支援は自治体によって異なり、十分な支援を得られないケースが多く見られます。
フリースクールや学習支援に関して、「両親が自力で情報を集めなければならない」という状況に陥りがちですが、これは決して好ましいとは言えず、学校や行政などが必要な情報提供を十二分にしていくことが求められます。以下は愛知県名古屋市の支援の一例で、比較的不登校支援がおこなわれていると言えますが、しかしそれでも全ての不登校の子どもたちを支援できていないのが現状です。
不登校の子どもたちへの支援は、家族や在籍する学校、そして医療機関との連携が重要です。しかしそれがしっかりと機能しておらず、学習の機会すら得られないケースも多く見られます。
不登校の子どもたちへの学習機会はもちろん、居場所を作るなど、選択肢を増やしていくことが求められています。不登校だった子どもたちをサポートすることを掲げる通信制高校も多く見られ、なかには中等部を設置している私立校も。
前出の「なごやフレンドリーナウ」やフリースクール、通信制高校の中等部などは正確には「小学校」や「中学校」として認められていません。しかし在籍する小中学校の学校長の認可があれば、フリースクールなどへ通った日数を「出席」に見なしてくれるケースがあります。また、一定の要件を満たす必要がありますが、自宅でICTなどを用いて学習した場合においても同様です。
これらの情報を知っているだけでも、不登校の子どもたちの学習機会や居場所の選択肢は大きく広がっていきますが、学校側からの周知や認知はまだまだ低いという実態があります。
<参考>
文部科学省ホームページ
「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日
不登校の子どもたちへの支援は、まず不登校への理解をすることから始まります。そして教育現場と家庭との連携、必要に応じて医療機関とも連携し、子どもの環境整備をするとともに、教育機会を損なわないようにしていかなければなりません。
SDGs4番目の目標「質の高い教育をみんなに」は、国や環境によって成すべきことが変化します。日本においても課題は多くありますが、不登校への支援も大きな課題のひとつです。思春期という多感な時期、不登校の子どもたちが抱える苦悩は計り知れません。周囲がどう支援していくか、社会や大人たちがしっかり考えていくことが大切です。
エグチホールディングスはSDGsの実現に向けて取り組んでいます。