SDGsの目標でもある「ジェンダー平等」は、時に大変デリケートな問題を孕みます。国によって状況がことなりますが、2021年4月現在の日本では、「生理の貧困」が大きな話題かつ問題となり、連日メディアを賑わせている状況です。
そこで今回は、「生理の貧困」にスポットを当てて見ていきましょう。
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いま「生理の貧困」がクローズアップされている背景には、新型コロナウイルス感染症による、経済的な困窮が挙げられます。「収入が減り、生理用品が買えない」といった女性の悲痛な声が多く聞かれ、備蓄している生理用品をの配布をおこなう自治体や、支援に乗り出す企業なども登場しています。
これらはもちろん女性にとっては大変ありがたい取り組みですが、企業や自治体がおこなう生理用品の配布活動も、その場限りではなく継続されるかどうか不透明な部分も多くあります。しかし「生理の貧困」は決していま始まったばかりの問題ではなく、また「生理の貧困」が抱える問題や、改めて浮き彫りになった実態なども見えてきています。
「生理の貧困」とは、経済的な理由などより生理用品を購入することができないことを指します。経済的に困窮した際、どの出費を削るか、我慢するかとなったとき、生理用品を我慢する女性は少なくありません。
よく「スマホを解約すれば良いのでは」という意見も見られますが、今の時代はスマホがないと困るシーンが多く、とくに大学生や社会人にとっては、学業や仕事にも影響を及ぼします。そうなったとき、女性にとっての「我慢する優先順位」の上位に上げざるを得ないのが生理用品なのです。
いっぽうで「生理の貧困」には児童虐待や経済的DV、そして家庭環境に起因するものなどが隠れているケースがあります。なかには「貧困がなくとも困窮する」している事例も。
これらには見過ごされてきた事例もありましたが、昨今の「生理の貧困」の問題とともに、よりクローズアップされるようになりました。SDGsへの取り組みや課題であると共に、SDGsに関わらず社会全体の課題として広い取り組みが求められています。
「生理の貧困」がクローズアップされていますが、日本において貧困以外にも生理を取り巻く課題は実に多く、時には女性の社会進出への大きな壁ともなり得てしまうのです。「ジェンダー平等」の達成には避けて通れないものと言えるでしょう。
これらは先進国である日本における課題ですが、途上国においてはより深刻な課題・問題が横たわっています。また他の先進国においても生理に関する課題は多く、古い認識や無理解も少なくありません。老若男女問わず、生理への認識や教育のありかたなどを改めることも必要ではないでしょうか。
日本を含む先進国にあっても、生理だけではなく妊娠への無理解と誤解は多く、それに伴う女性の社会進出や活躍の機会への影響があることは否めません。「生理や妊娠は病気ではない」という言葉が発せられることも少なくないのが現状です。
しかし無理解や誤解は、男性側からだけのものではなく、女性側から噴出するものがあります。ジェンター平等を掲げる際に、「異性間」での不平等だけではなくも「同性間」での不平等が問題となるケースも。とくに生理や妊娠などにおいては「症状」の個人差が大きく、軽い症状で過ごせている女性が、辛い症状の女性のことを理解できないというケースも少なからず見られます。
上記は同性間であっても無理解や誤解が生じるものの一例です。生理や妊娠に関する症状は個人差が大きく、無症状であったり軽快なまま過ごせる女性もいれば、寝込んでしまったり入院を要する女性もいます。これらは決して甘えではなく個人差が大きいこと、ときには重大な疾患が隠れている可能性があるということを認識する必要があります。
「生理の貧困」をはじめ、女性の生理に関する問題は大変デリケートであるとともに根深いものがあり、一朝一夕で解決できるものではなく、社会全体で取り組みを進める必要があります。
SDGsが掲げる「ジェンダー平等」には、女性の社会進出も含まれます。また性差別の問題も大きいのが現状です。日本においてもまだ目標達成にはほど遠いと言えるでしょう。「生理の貧困」を知ることから、ジェンダー平等への道筋を見つけていくことも大切ではないでしょうか。
エグチホールディングスはSDGsの実現に向けて取り組んでいます。