【SDGs】火星や月への移住計画、SFの造語「テラフォーミング」とSDGs


物語のジャンル「SF(サイエンスフィクション)」では、時として「未来の地球」「環境が崩壊した地球」などが登場します。そういった作品においては、「崩壊した地球で生き続ける人々」を描くもの、「地球を捨てて他の天体へ移住した人々」を描くもの、またその両方がミックスされたものなどが見られます。

 
とくに「他天体への移住」が描かれる作品において、必須となるのが地球型惑星の捜索や、「テラフォーミング」です。テラフォーミングとは、他天体を地球と同等の環境にし、人間が住めるようにする技術に対するSFの造語ですが、しかし現在の地球環境においてもテラフォーミングは重要な存在感を放っています。

 
今回は少し視点を変え、テラフォーミングとSDGsについて展開していきます。

 

火星移住計画とテラフォーミング、地球環境への恩恵


崩壊した地球を描くSF作品は古くから存在し、SFの定番と言えるもの。シンプルに「環境が崩壊した未来を描こう」とした作家もいれば、「現在の状況では、いずれ環境が崩壊してしまうだろう」と予測して描いた作家もいます。そういった意味でも、誰もが「このままではいけない」と容易に想像がつくのが、いまの地球の自然環境です。

 
17種類の目標を掲げるSDGsでは、地球環境の保持や改善なども盛り込まれていますが、そこに必要とされる技術にはテラフォーミングのために研究されている技術もあります。

 

映画「オデッセイ」と、火星への人類移住の可能性

2015年公開の映画「オデッセイ」では、火星の有人探査において不慮の事故でひとり火星に残されることになった主人公が、火星で生き延びる姿を描いています。作中、火星でのジャガイモ栽培を始めとした「生きるため」の試行錯誤が登場。さらに原作では映画以上に詳細かつ過酷な状況が描かれていますが、もちろんこれらはフィクションです。

 
フィクションではありますが、実際に火星への有人探査の計画が進められ、世界では「火星地球化計画」や「火星移住計画」が立ち上がっています。なかでもイーロン・マスクが立ち上げた計画はよく知られているのではないでしょうか。火星への有人探査はともかく、移住が成功する可能性は未知であり、21世紀中に実現させるとする計画もありますが、本当に実現・成功するかどうかは未知と言えます。

 
火星への人類移住の目的として、宇宙開発の通過点と到達点のひとつであることは間違いないですが、地球の代わりとなる惑星を見つけることも見落としてはいけません。イーロン・マスクは火星移住計画において、火星を「地球のバックアップ」と表現しています。地球に人類が住めなくなったとき、代わりに住む場所が必要なのは明確で、その場所を地球外の天体、つまり火星に求めているのです。

 
「地球に住めなくなる」理由には地殻変動や他天体の衝突、人間による環境破壊、人間に由来しない気候変動など、さまざまなものが考えられます。SDGsでは地球の環境保持と改善も目標に掲げています。SDGsの目標がどこまで達成でき、そして維持できるかによりますが、「人間による環境破壊」で地球に住めなくなるという事態は避けるべきと言えるでしょう。

 

オデッセイ 詳細情報

原作:アンディ・ウィアー
原題:『The Martian』
原作邦題:『火星の人 上・下』ハヤカワ文庫SF
ISBN-10:4150120439
ISBN-13:978-4150120436

 

他天体へのテラフォーミング技術と地球環境

話をテラフォーミングに戻します。前述した火星への人類移住計画のほかに、近年ではまた月への注目度が高くなっています。月の資源を活用するための資源開発計画だけではなく、月面に都市をつくる「ムーンバレー構想」も生じ、にわかに宇宙開発方面が賑やかに、そして騒然としています。

 
火星も月も、人類が移住するからには、「現地」での生活基盤が必要です。建造物だけではなく、宇宙での農作物の栽培に伴う土壌改善や、生活で使用するそのほか資源の確保、人間が住みやすい環境への改善技術が求められます。

 
火星や月そのものを、酸素のある惑星に作り替えることはSFの世界だけの話と思われがちです。しかしこの点についても計画・研究が進められています。たとえば月の砂には酸素が含まれており、その酸素を抽出するという実験が挙げられます。

 
ここで2018年にNASAが発表した言葉をご紹介します。

 
「Mars Terraforming Not Possible Using Present-Day Technology」

 
つまり、「現在の技術では、火星のテラフォーミングは不可能」ということです。ここまで火星への移住やテラフォーミングについてご紹介しましたが、NASAは公式に「現時点では不可能」と告げてしまっています。

 
しかし、今後も技術は進歩を遂げていきます。火星や月を地球化、テラフォーミングするための計画や研究は、常に未来を見据えておこなわれています。仮にテラフォーミングがこの先も不可能だったとしても、そのために蓄積された研究と技術は無駄にはなりません。地球上の土壌改善や水質改善、砂漠化の改善など、さまざまな環境に流用・活用することが期待されます。

 
<参考>
NASA 2018年7月21日付け記事
「Mars Terraforming Not Possible Using Present-Day Technology」

 

テラフォーミング技術がSDGsのゴールに間に合わなくとも


NASAの「アルテミス計画」は、2024年に月面への有人着陸、そして2028年までに月面基地の建設開始を掲げています。最初に人類が月に降り立ってから50年以上の時を経て、改めて月への注目度が高まっています。

 
世界での宇宙開発の目線は、月と火星に注がれています。今回ご紹介したテラフォーミングも、近い将来とは言えなくとも、いずれ実を結ぶ日がくるかもしれません。おそらくはそれよりも前に(SDGsがゴールとした2030年に間に合わなくとも)、地球環境の改善への貢献が見られるのではないでしょうか。

 
エグチホールディングスはSDGsの実現に向けて取り組んでいます。