フィリピンの離島リゾートと言えば、セブ島を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし近年、「ボラカイ島」の人気が高まってきており、世界中から注目を集めています。美しいビーチで一躍世界中に有名になったボラカイ島ですが、島にはどんな歴史があるのでしょうか。そこで今回は、ボラカイ島の歴史についてご紹介します。
ボラカイ島には大きな歴史はありません。伝わっていないだけなのか、それとも古来から人々が変わらぬ生活を続けてきただけなのか、それがボラカイ島です。しかし、ボラカイ島の「歴史」が大きく動いたのはここ数十年ほど。そう、リゾート地としての開発が進んだのです。
たとえばインドネシアのバリ島には古い寺院があり、長い歴史を持つバリ・ヒンドゥー教が伝わっているなど、鮮やかな歴史が残っています。しかしボラカイ島は、現在知られている限りでは、1990年くらいまでは小さな集落がいくつかあるというだけの、静かな島でした。島外から人がくることはあまりなく、島民が静かに暮らしていたのです。
ボラカイ島は元々はリゾート地でもなんでもなく、前述したように島民が集落を作って暮らす島。島外から島へ渡るのも大変だったと言われていますが、それでもごく一部の人々には知られている島で、たまに「旅行者」が訪れたとのこと。
かつてボラカイ島を訪れる島外からの「旅行者」は、水や食料、テントなどを自分で持ち込み、島のビーチで過ごす、そんな様子が見られたと言います。そんなボラカイ島が世界に知られるきっかけとなった出来事が、1990年に起こります。
1990年に、BMWの「トロピカル・ビーチ・ハンドブック」で実施された投票によって、「世界で最高のビーチ」にボラカイ島が選ばれたのです。そこから、ボラカイ島を巡る環境が一変していきます。
その美しさから、世界でも最高クラスのビーチと称されたボラカイ島は、その後もメディアで称賛を受けていきます。そうなると当然、島を訪れる人々が増え、電気すらなかった島には電気が通るように。水道も通り、気がつけば道路が整備されたりホテルが建設されたりと、立派なリゾートアイランドとして生まれ変わったのです。
しかし、急激な変化と観光客の激増は、島の環境に影を落とします。水道はあるものの下水が整備されていないことや、オーバーツーリズムの影響によって、ビーチや周辺の海がひどく汚れてしまうことに。そして2018年、ドゥテルテ大統領によってボラカイ島の一時閉鎖が決まります。
島の環境を守るために、ボラカイ島での過ごし方に関する規制が制定され、閉鎖解除後のボラカイ島では観光客もそれを守ることになったのです。
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ボラカイ島がリゾートとして注目されるようになってから、まだたったの30年。この30年のあいだに、島の様子は大きく変わり発展を遂げました。ボラカイ島に人間が住み始めてから今までのあいだで、最もさまざまな出来事が起こった30年ではないでしょうか。
リゾート化される前の歴史そのものはほとんど知られていないボラカイ島ですが、この30年間の歴史は目を見張るもの。リゾート化によって得たものや失ったものもありながらも、ボラカイ島はその美しさで人々を魅了し続けていくことでしょう。
旅行などでボラカイ島を訪れる機会があれば、ぜひボラカイ島の歴史も意識して、島の規制事項をしっかり守って滞在してくださいね。