コンビニエンスストアのお弁当売り場で、「てまえどりにご協力ください」と書かれた緑色のPOPやポスターなどを見かけることがあります。これは食品ロス削減への対策の一環で、大手コンビニエンスストアチェーンや小売店などが取り組まれています。
食品ロスは、SDGsでも積極的に取り組まれている問題です。また、コンビニに限らず食品を扱うすべての業態で大きな課題となっています。そこで今回は「てまえどり」をピックアップし、食品ロス対策について展開していきます。
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「てまえどり」とは、商品棚に陳列された食品を「手前」から購入していくという購入スタイルのこと。まずは結論として、購入時にてまえどりができる状況であれば、積極的に協力をしていくべきものと言えるでしょう。
「先入先出法」という棚卸資産関連の方法がありますが、これは「先に仕入れた商品から、先に販売する」という方法です。てまえどりは、販売側と消費者側とで立場は異なりますが、ある意味では先入先出法と同じ感覚です。
販売側は「先に仕入れたものを手前に出す」、消費者側は「手前の食品(古いもの、先に仕入れたもの)から、購入していく」。この簡単な行動ひとつで、食品ロスの削減に大きく貢献することになります。
てまえどりは、食品ロスの削減を掲げた取り組みですが、以下のように官公庁と大手コンビニチェーン(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ)が協力して推し進めています。
食品ロスへの対策は、販売側の努力だけでは成立せず、消費者の協力も不可欠。双方が食品ロスに関する理解を深め、廃棄する食品を減らしていくことが大切です。
手前の食品から購入するとは言っても、必ずてまえどりができる状況にあるとは言い切れません。たとえば、数日分の食料品をまとめ買いするときや、翌日に食べるお弁当を購入するときなどは、消費期限・賞味期限が長いものを選ぶことでしょう。
てまえどりは、「購入後、すぐに食べるもの」を想定しています。すぐ食べることを目的として購入する食料品は、手前に陳列されているものから手に取ることが大切。とくに対象とされているコンビニのお弁当やお惣菜などは、なおさらです。
食品ロス対策と、てまえどりへの取り組みの際、消費者側が知っておきたいのは「消費期限」と「賞味期限」の違いです。どちらも食品を美味しく、そして安全に食べることができる期限を示していますが、双方は似ているようで大きく異なります。
また、どちらも「未開封」かつ保存方法を守った場合に想定される期限です。開封後や保存方法が守られていない場合は、期限に限らず早めに食べることが大切です。
「消費期限」は、期限を超過したものは食べないほうが良いという表示です。期限として記されている日付は、未開封かつ保存方法を守った場合に適用される期限です。主に肉類や魚類、おにぎりやお弁当、サンドイッチなどが挙げられ、ケーキや、ベーカリーで製造されたパンなども該当します。思いのほか消費期限の対象となる食品は多く、数日で傷んでしまうものばかりです。
「賞味期限」は、期限とされる日付までは、その食品を美味しく食べられるという表示です。消費期限と同様に、未開封かつ保存方法を守った場合を前提としています。調味料やレトルト食品、スナック菓子類、ジュース、缶詰、乾物など、いわゆる「日持ちがする」とされる食品が対象です。賞味期限が過ぎていても、未開封かつ保存方法が守られていれば少しの期間はまだ食べられる可能性があります(※)。
※食品の状態や匂いなどをよく確認するようにしましょう。
SDGsの目標12に「つくる責任 つかう責任」があります。また目標2には「飢餓をゼロに」があり、食糧問題に関する取り組みは世界中で広くおこなわれています。とくに日本をはじめとした先進国で生じる食品ロスは大きな課題ですが、そのいっぽうで途上国では食糧難や飢餓で苦しむ人々がいます。
食糧に関するさまざまな問題に対し、わたしたちにできることはごくわずかなことかもしれません。しかし食品ロスを意識することは大変有効であるとともに、巡り巡って必要な食糧を必要な場所へと届ける貢献にもつながります。
コンビニなどの店頭でのてまえどりだけではなく、家庭内にある食品についても同様です。消費期限や賞味期限が近いものから食べるよう、意識することが大切。店頭だけではなく、家庭内の食品ロスにも目を向けていきたいですね。
エグチホールディングスはSDGsの実現に向けて取り組んでいます。